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5月11日(木) ミルフォードトラック 3日目

■つらくてやがてしあわせ
 寒い。
 やはり昨日と同じく朝早く3時ごろから目が覚める。寒さで目が覚める。
 今日は早く起きてもストーブも点かないからひたすら寝袋の中で時間が過ぎるのを待つ。

 7時すぎ、起きるのも寒いし、かといって寝袋で寝ていても寒いので起きる。
 雨はひたすら降っている。
 ここフィヨルドランドは雨が降っていて当たり前の地帯。とはいえなんか納得がいかない気分。
 先日行ったマウントクックも雨が多いところだと言われながら3日間とも晴れたのに、あの3日間の内の晴れをこっちにほしかったとわけの分からないことを考えるくらいやるせない。

 なにせ今日は大仕事がある。
 それはこのフィヨルドの山を越えること。
 一気に554m登り、一気に974m下る。
 そして、ここミルフォードトラックの目玉、ニュージーランド国内最高落差のサザーランド滝が後半にある。これが楽しみ。

 朝食を食べ、乾ききってないレインコートをえいっと着て9時20分ごろ出発。
 今日歩く距離は14km。
 距離は短いが登り下りがあるので今日がある意味4日間の行程の中で一番忙しい日だ。


↑フィヨルドの岩山をジグザグと縫っている山道を登る。
 これは完全な登山だ。
 雨が降り続いている。

 登るうちに雨が固形に・・・。
 うわ!雪だ。
 ニュージーランドで初めて降っている雪を見た。
 ただの登山が雪山登山になった。
 歩いていると体はまだ温かいが、腕から先が冷たくなってきた。
 そもそも自分が着ているレインコートは日本の安い量販店で買ったもの。
 レインコートというよりカッパ。雨が染みてくる。


↑10時50分ごろ マッキノン峠の近くにあるモニュメント
 フィヨルドの岩山を登りきったところ。
 本当はここはすばらしい眺めの展望台。
 だけど今日はすばらしくまっしろな霧。


↑登ってきたフィヨルドの反対側の崖
 ものすごい高さ。足をこわごわ前に進めて近づいた。

 さらに歩いてミルフォードトラック最高地点1073mのマッキノン峠へ。

 マッキノン峠に来た。するとびっくりするほどの強風
 体がよろける。風に吹かれて顔に当たる雪が痛い!
 出発前にティアナウのDOCセンターで見た「生きて帰ってこれるだけの装備を持っていますか?」」のポスターがいよいよ真実味を帯びてきた。
 こういうことだったのか。

 かなり体が冷えてきた。昨日のミステリーハンターごっこなんてとてもできる状況じゃない。
 はあ、つらい。はあ、つらい。
 休むとこないのかな。
 はあ、つらい。


↑マッキノン峠から約10分。シェルターが見えた。
 うわー!助かったー!と思わず叫ぶ。
 中には先に歩いていたスイス人がスープを作っていた。
 少し分けてくれた。いただきます。はああ。うまい。

 こりゃ、このシェルターがなかったら本当に死んでたかも。
 装備不足だったと反省。
 そもそもこの安物レインコートがよくない。
 機能的なのは雨を通さず汗を逃がすんだろうけど、自分のは雨を通して汗を逃がさない逆スグレモノ。
 どういう理屈なんだ?体が冷えっぱなし。
 リュックにかけるカバーもリュックを買い換える前のカバーなので大きさが合わずリュックの上だけにカバーしている。
 でも靴だけは日本で買ったゴアテックス内蔵のちゃんとした靴。
 もちろん金額もちゃんとしていた。これのおかげで雨の中でも水が染みこんでこない。

 ミルフォードトラックに行く前日は「アウトドアにはお金かかかる」といいながら準備していたけどそうじゃなくてアウトドアにはお金をかけなきゃいけないんだな。
 お金をかけて自然の中でも充分身を守るだけの機能的な装備をしないといけないんだな。と。
 痛い目に遭わないとわかんないのよ。

 しばらくしてあとから出発したドイツ人、香港人も到着。
 お昼をとりつつ1時間ほど休んで12時半ごろ出発。


↑雪が積もってる。プチ雪山だ。
 それにしてもトレッキング2回目にしてこんなヘビーなところ歩いていいのかね。


↑そびえる岩山
 てっぺんは真っ白。このとんがりよう。圧倒される迫力がある。

 岩の陰になって風がさえぎられた。
 このあとはひたすら下る。足を滑らせると底まで滑落するかもしれない危険な場所だ。
 登るときより神経を使ってつかれる。


↑14時半ごろ ガイドウォーク3日目のハット クインティン・ロッジに到着
 山影が3重に重なっている。

 ここには個人ウォークの人でも休める休憩小屋がある。しばし休憩。
 ここからちょっとわき道に入り目玉のサザーランド滝を見に行く。
 小屋に荷物を置いていけるので楽ちん。


↑小屋から歩いて約30分。
 サザーランド滝の全貌が。音も聞こえてくる。落差550m。
 落差550mってこんなにでかいものなのか。


↑15時半ごろ 滝のすぐそばまで来た。
 風圧と音がすごい。水しぶきが風に乗って飛んでくる。


↑流れ落ちる上を望む
 水が暴れ落ちて飛び散っている。


↑セルフタイマーで記念写真。
 平らじゃない岩にカメラを置いたので傾いてる。
 左から自分、スイス人、香港人、ドイツ人。

 香港人が滝に向かって太極拳のようなポーズをとっていた。気でも取り込んでいるのか?
 でも確かになんらかのパワーをもらえたような気がした。

 ちなみに日本の最高落差の滝は自分の地元富山県にある称名滝。
 けどまだ間近でみたことがない。そして、サザーランド滝より落差が低い。
 先にすごいのを見ちゃったな。

 大満足の気持ちで今日泊まるハットへ向かう。
 荷物を置いた小屋から先はフラットな道でとても楽だ。


↑17時15分ごろ 個人ウォーク3日目のハット ダンプリン・ハットに到着
 雨がやんできた。

 ハットにはすでに別のお客さんがいた。
 逆ルートで歩いてきた男性1人とおばさん1人。
 早々についていたので薪ストーブを点けて暖まっていたそうだ。乾いた薪がたっぷりある。
 なのでハットの中はすでに暖かい。ありがたい。ほんとうにありがたい。
 しかもキッチンは夜になるとタイマーで太陽電池を使って明かりが点く。
 なんてしあわせ。ほんとうにしあわせ。電気ってすごいよ。

 と、いうふうにミルフォードトラック最後の夜は明るい部屋で濡れた服を薪ストーブのそばで乾かしながらものすごく暖かな気持ちで更けるのでした。

5月11日(木) ミルフォードトラック 3日目

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